Intel Core Ultra シリーズ2は、2024年から登場したIntelのノートPC向けプロセッサーです。
薄型モバイルノート向けの「200V」、性能を重視した「200H」、省電力ノート向けの「200U」、ゲーミングノートやモバイルワークステーション向けの「200HX」などが用意されています。
同じCore Ultra シリーズ2でも、CPU性能、内蔵GPU、NPU性能、消費電力は大きく異なります。そのため、「Core Ultra 7」といったグレードだけでなく、型番末尾のV・H・U・HXまで確認することが重要です。
※掲載内容は2026年8月時点の情報です。
結論:Core Ultra シリーズ2は末尾記号で選ぶ
Core Ultra シリーズ2を選ぶ際は、最初に型番末尾を確認しましょう。
| シリーズ | 主な特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 200V | 省電力性、内蔵GPU、NPUを重視 | 薄型モバイル、長時間の持ち歩き |
| 200U | CPU性能と省電力性のバランス | ビジネス、Office、一般用途 |
| 200H | CPU性能と内蔵GPU性能を重視 | 写真編集、動画編集、開発作業 |
| 200HX | CPU性能を最優先 | ゲーミング、3DCG、ワークステーション |
| 200HX Plus | 200HXを強化した高性能モデル | ハイエンドゲーム、制作、専門業務 |
特に注意したいのは、200Vと200Hの違いです。
200Vは8コアCPUですが、47~48 TOPSのNPUとIntel Arc 130V/140V GPUを搭載し、薄型ノートでの省電力性やグラフィックス性能を重視しています。
一方、200Hは最大16コアでCPU処理性能を重視していますが、NPU性能は13 TOPSです。Core Ultra 7という同じグレードでも、200Vと200Hでは設計目的が異なります。
Intel Core Ultra シリーズ2とは
Intel Core Ultra シリーズ2は、CPU、GPU、NPUを組み合わせたIntelのプロセッサーです。
型番は「Core Ultra 7 258V」「Core Ultra 7 265H」のように表記され、3桁のプロセッサー番号が「2」から始まります。
Intelは、プロセッサー番号の先頭にある数字がシリーズを示すと説明しています。したがって、165Hはシリーズ1、258Vや265Hはシリーズ2です。
Core Ultra シリーズ2のノートPC向け製品は、主に次の系統に分けられます。
- Core Ultra 200V
- Core Ultra 200U
- Core Ultra 200H
- Core Ultra 200HX
- Core Ultra 200HX Plus
200Vは開発コードネーム「Lunar Lake」、200U・200H・200HXは「Arrow Lake」と呼ばれていた製品です。
Core Ultra シリーズ2の型番の見方
「Intel Core Ultra 7 258V」を例に分解すると、次のようになります。
Intel Core Ultra 7 258V
│ │ │ │ └ 末尾記号
│ │ │ └── プロセッサー番号
│ │ └──── 性能グレード
│ └────────── ブランド
└────────────────── メーカー
「7」は性能グレード
Core Ultra シリーズ2では、主に次のグレードが使われています。
- Core Ultra 9
- Core Ultra 7
- Core Ultra 5
基本的には数字が大きいほど上位ですが、グレードだけで性能を比較することはできません。
例えば、Core Ultra 7 258Vは省電力性と内蔵GPU性能を重視した8コアCPUです。一方、Core Ultra 5 225Hは14コアを搭載しており、CPUを使った高負荷処理では有利になる可能性があります。
「2」はシリーズ2を示す
プロセッサー番号の先頭にある「2」が、Core Ultra シリーズ2を表します。
| 型番 | シリーズ |
|---|---|
| Core Ultra 7 165H | シリーズ1 |
| Core Ultra 7 258V | シリーズ2 |
| Core Ultra 7 366H | シリーズ3 |
残りの数字は、同じシリーズ内のモデルを区別するための番号です。
ただし、258Vと255Hのように末尾記号が異なるCPUは設計が違うため、数字の大小だけで直接比較できません。
Core Ultra 200Vの特徴
Core Ultra 200Vは、薄型モバイルノート向けに省電力性、内蔵GPU、AI処理性能を重視したシリーズです。
すべてのモデルが、4基のPコアと4基の低消費電力Eコアを組み合わせた8コア構成になっています。
主なモデルは次のとおりです。
| グレード | 型番 | 内蔵GPU |
|---|---|---|
| Core Ultra 9 | 288V | Intel Arc 140V |
| Core Ultra 7 | 268V、266V、258V、256V | Intel Arc 140V |
| Core Ultra 5 | 238V、236V、228V、226V | Intel Arc 130V |
200Vシリーズは、Core Ultra 5を含め、すべてIntel Arcブランドの内蔵GPUを搭載しています。
47~48 TOPSのNPUを搭載
200Vシリーズは、Copilot+ PCに対応できる性能を持つNPUを搭載しています。
例えば、Core Ultra 7 258VのNPUは47 TOPS、Core Ultra 9 288Vは48 TOPSです。
MicrosoftはCopilot+ PCについて、40 TOPS以上のNPUや16GB以上のメモリを備えたPCカテゴリーと説明しています。200Vシリーズは、Core Ultra シリーズ2の中でCopilot+ PC向けに設計された系統です。
ただし、NPUを搭載しているだけですべてのAI処理が高速になるわけではありません。アプリがNPUに対応していない場合は、CPUやGPUが使われます。
Intel Arc 130V/140Vを搭載
Core Ultra 5にはIntel Arc 130V、Core Ultra 7と9にはIntel Arc 140Vが搭載されています。
Core Ultra 7 258VとCore Ultra 9 288VのIntel Arc 140Vは8基のXeコアを備えています。
外部GPUを搭載しない薄型ノートでも、写真編集、動画編集、軽めのゲームなどに対応しやすい構成です。
ただし、実際の性能はノートPCの冷却設計や電力設定によって変わります。
メモリはパッケージに統合
200Vシリーズは、メモリをプロセッサーと同じパッケージに搭載する「Memory on Package」を採用しています。
搭載メモリは製品によって16GBまたは32GBとなり、購入後にメモリを増設することはできません。
特に動画編集やローカルAI、複数の重いアプリを利用する場合は、購入時に32GBモデルを選んでおく必要があります。
Core Ultra 200Hの特徴
Core Ultra 200Hは、CPU性能と内蔵GPU性能のバランスを重視した高性能ノートPC向けシリーズです。
主なモデルは次のとおりです。
| 型番 | コア数 | 内蔵GPU |
|---|---|---|
| Core Ultra 9 285H | 16 | Intel Arc 140T |
| Core Ultra 7 265H | 16 | Intel Arc 140T |
| Core Ultra 7 255H | 16 | Intel Arc 140T |
| Core Ultra 5 235H | 14 | Intel Arc 140T |
| Core Ultra 5 225H | 14 | Intel Arc 130T |
200Hシリーズは、最大16コアのCPUとIntel Arc 130T/140T GPUを搭載します。
Core Ultra 5 225Hでも14コアを搭載しており、複数アプリの同時使用、写真編集、動画編集、プログラム開発などに向いています。
NPU性能は200Vより低い
Core Ultra 5 225HのNPU性能は13 TOPSです。
CPU、GPU、NPUを合計したプラットフォーム全体では83 TOPSですが、Copilot+ PCの要件で重視されるのはNPU単体の性能です。
そのため、200H搭載PCは「AI PC」として販売されることがありますが、200V搭載PCと同じ意味でのCopilot+ PCとは限りません。
Intel Arcの利用条件に注意
Intelは、200HシリーズでIntel Arcブランドを利用するためには、16GB以上のデュアルチャネルメモリとメーカー側の有効化が必要と説明しています。
条件を満たさない構成では、「Intel Graphics」として扱われる場合があります。購入時にはCPUの仕様だけでなく、ノートPCの商品ページに記載されたGPU名も確認しましょう。
Core Ultra 200Uの特徴
Core Ultra 200Uは、一般的なビジネスノートやモバイルノート向けの省電力シリーズです。
主なモデルは次のとおりです。
- Core Ultra 7 265U
- Core Ultra 7 255U
- Core Ultra 5 235U
- Core Ultra 5 225U
各モデルは12コア構成で、Intel Graphicsを搭載しています。
Core Ultra 5 225Uの場合、2基のPコア、8基のEコア、2基の低消費電力Eコアを搭載し、基本電力は15Wです。
Web閲覧、Office、オンライン会議、一般的な業務アプリには対応しやすい一方で、内蔵GPU性能は200Vや200HのIntel Arcより控えめです。Core Ultra 5 225Uの内蔵GPUは4基のXeコアを備えたIntel Graphicsです。
NPU性能も12 TOPSのため、Copilot+ PCを目的として選ぶCPUではありません。
Core Ultra 200HXの特徴
Core Ultra 200HXは、ゲーミングノート、クリエイター向けノート、モバイルワークステーション向けの高性能シリーズです。
主なモデルは次のとおりです。
- Core Ultra 9 285HX
- Core Ultra 9 275HX
- Core Ultra 7 265HX
- Core Ultra 7 255HX
- Core Ultra 7 251HX
- Core Ultra 5 245HX
- Core Ultra 5 235HX
上位のCore Ultra 9 285HXは、8基のPコアと16基のEコアを組み合わせた24コアCPUです。基本電力は55W、最大ターボ時電力は160Wとなっています。
200HXの内蔵GPUは4基のXeコアを備えたIntel Graphicsです。基本的には、NVIDIA GeForce RTXなどの外部GPUと組み合わせて使用することを想定したCPUです。
また、NPU性能は13 TOPSです。Core Ultraという名称ですが、NPU性能よりもCPU性能を優先したシリーズと考えた方が分かりやすいでしょう。
Core Ultra 200HX Plusの特徴
Core Ultra 200HX Plusは、2026年3月に追加された200HXシリーズの強化版です。
次の2モデルが用意されています。
- Core Ultra 9 290HX Plus
- Core Ultra 7 270HX Plus
Core Ultra 9 290HX Plusは24コア、Core Ultra 7 270HX Plusは20コアです。
Intelは200HX Plusについて、ゲーマー、クリエイター、専門業務向けの処理性能を強化した製品として位置づけています。対応ノートPCは2026年3月17日から順次販売されています。
Core Ultra 9 290HX Plusの基本電力は55W、最大ターボ時電力は160Wで、薄型モバイルノート向けではありません。
Core Ultra 200V・H・U・HXの違い
| 項目 | 200V | 200U | 200H | 200HX |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | 薄型モバイル | 一般・ビジネス | 高性能ノート | ゲーミング・制作 |
| CPUコア数 | 8 | 12 | 14~16 | 最大24 |
| 内蔵GPU | Arc 130V/140V | Intel Graphics | Arc 130T/140T | Intel Graphics |
| NPU性能 | 47~48 TOPS | 約12 TOPS | 約13 TOPS | 約13 TOPS |
| Copilot+ PC対応 | 製品あり | 基本的に非対応 | 基本的に非対応 | 基本的に非対応 |
| メモリ | 16GB/32GBを統合 | PCの構成による | PCの構成による | PCの構成による |
| 重視する要素 | 省電力、GPU、NPU | 価格と省電力 | CPUとGPU | CPU性能 |
この表からも、200Vがシリーズ2の中で少し特殊な存在だと分かります。
200VはCPUのコア数を増やすより、バッテリー駆動、内蔵GPU、NPUを重視しています。
一方、200Hや200HXはNPU性能を抑え、CPUを使った高負荷処理に重点を置いた設計です。
用途別の選び方
持ち歩きとバッテリー駆動時間を重視する人
Core Ultra 200Vが有力です。
薄型軽量ノートに採用されやすく、Intel Arc内蔵GPUや47~48 TOPSのNPUも利用できます。
ただし、メモリを増設できないため、長期間使用する場合は32GBモデルも検討しましょう。
Officeや一般的な業務が中心の人
Core Ultra 200Uが候補になります。
Web閲覧、文書作成、表計算、オンライン会議などが中心なら、200Uでも十分な性能を期待できます。
内蔵GPU性能やCopilot+ PCへの対応を重視する場合は、200Vの方が向いています。
写真編集や動画編集を行う人
Core Ultra 200Hが選びやすいでしょう。
14~16コアのCPUとIntel Arc 130T/140Tを備えており、CPUと内蔵GPUを使う作業のバランスに優れています。
ただし、Intel Arcとして動作するメモリ構成になっているかを確認する必要があります。
本格的なゲームや3DCG制作を行う人
Core Ultra 200HXまたは200HX Plusが候補です。
これらは外部GPUを搭載した大型ノートでの使用を前提とした高性能CPUです。
性能が高い一方で、本体重量、ファンの動作音、消費電力、バッテリー駆動時間には注意が必要です。
Core Ultra シリーズ2を選ぶ際の注意点
Core Ultra 7という名前だけで比較しない
Core Ultra 7 258V、Core Ultra 7 265U、Core Ultra 7 265H、Core Ultra 7 265HXは、すべてCore Ultra 7ですが、設計目的が異なります。
型番末尾を確認しないと、求めていた性能と実際の特徴がずれる可能性があります。
Core UltraだからCopilot+ PCとは限らない
Core Ultra シリーズ2で40 TOPS以上のNPUを搭載する中心的な製品は200Vです。
200H、200U、200HXもNPUを搭載していますが、NPU単体ではCopilot+ PCの40 TOPS要件を満たしていません。
購入時には「AI PC」と「Copilot+ PC」を同じ意味として扱わないようにしましょう。
CPU名が同じでも実際の性能は変わる
同じCPUを搭載していても、ノートPCの冷却性能、電力設定、メモリ構成によって実際の性能は変わります。
特に200Hや200HXは、CPUが消費できる電力と冷却性能による差が出やすいシリーズです。
実機レビューでベンチマーク結果、動作音、本体温度、バッテリー駆動時間まで確認することをおすすめします。
Core Ultra シリーズ2搭載ノートPCのレビュー
当サイトでレビューしたCore Ultra シリーズ2搭載ノートPCは、以下から確認できます。
レビューでは、CPUや内蔵GPUのベンチマークだけでなく、バッテリー駆動時間、動作音、本体温度、ディスプレイ、キーボードなども実機で確認しています。
同じCPUを搭載した製品でも性能や使い勝手は異なるため、購入前の参考にしてください。
まとめ
Intel Core Ultra シリーズ2には、薄型モバイル向けの200V、一般用途向けの200U、高性能ノート向けの200H、ゲーミングや制作向けの200HXがあります。
選ぶ際は、Core Ultra 5・7・9というグレードだけでなく、末尾のV・U・H・HXを確認することが重要です。
- 省電力性、内蔵GPU、Copilot+ PC対応を重視するなら200V
- 一般的なビジネス用途なら200U
- CPUと内蔵GPUのバランスを重視するなら200H
- 外部GPUと組み合わせた高性能ノートなら200HX
同じシリーズ2でも性格は大きく異なります。CPU名だけで判断せず、ノートPC本体の仕様と実機レビューを含めて選びましょう。
